ホルモン補充療法とは?
更年期を境として、女性ホルモンの分泌量は低下します。特に閉経後はエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量低下が著しく、時を同じくして現れるのが、ほてり、イライラ、発汗、肩こり、鬱、不眠、食欲不振などの更年期障害です。これらの症状の改善のために行うのが「ホルモン補充療法」です。
基本的には、エストロゲンの投与を行っていきます。また、プロゲステロン(黄体ホルモン)も一緒に補充するケースもあります。
通常、閉経が50歳として、平均寿命から計算すると、30年余りを女性ホルモンが不足した状態で生活することになります。長寿であることはありがたいことですが、その間の心と身体の健康を、女性という性に基づいて維持するためにも、ホルモン補充療法は、これからますます普及していくとが予想されます。
また、ホルモン補充療法と併せて、バランスの良い食事と適度な運動を行うことは、更年期障害の改善に非常に効果的です。堺市南区の竹山レディースクリニックまでご相談ください。
ホルモン補充療法の効果
ほてり、発汗、のぼせ、動悸、息切れなどの血管運動神経症状に対しては、比較的すみやかに効果が現れます。また、イライラ、不安、脱力感も解消されやすい症状と言えます。
ホルモン補充療法を開始されてすぐに「信じられないくらい症状が改善されました」とご報告くださる患者様も少なくありません。
また、その他にも以下の効果が期待できます。いずれもQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持につながるもので、永く健康を守るために重要な意味を持ちます。
- 血中コレステロール値を下げるため、動脈硬化の予防になる
- 閉経後早期からホルモン補充を開始した場合には、アルツハイマーの予防になる
- 皮膚中のコラーゲン量の減少を阻み、肌の美しさが保たれる
- 骨塩(骨を形成するカルシウムやリン等)量の減少を抑え、骨粗鬆症の予防になる
ホルモン補充療法の開始時期について
ホルモン補充療法の開始時期は、一般的には閉経直前が適切だと言われています。
ただし閉経後からの開始であっても、以降の更年期障害の予防・改善効果は期待できますので、メリットは十分に認められます。
ホルモン補充療法の副作用
ホルモン補充療法開始直後は、乳房の張り・痛みなどが起こることもありますが、ほとんどは継続していく中で消失します。消失しない場合には、補充するホルモン量を調整することで対処します。
もっとも注意すべきは、ホルモン剤による血液の凝固作用です。場合によっては血栓症が起こることもありますが、非常に稀なケースです。血栓症の兆候としては、ふくらはぎの腫れ・むくみ、胸の痛み、強い頭痛などが挙げられます。これらの症状が現れた場合にはすぐにお薬の使用を中止し、当クリニックにご相談ください。
また、薬へのアレルギーがある方、卵巣がん・子宮体がんなどの既往がある方、心臓・肝臓に疾患のある方、高血圧・糖尿病の治療中の方は、病状が悪化するリスクがありますので、ホルモン補充療法の導入には慎重な検討が必要です。
ホルモン補充療法を受けていただけない方
2009年より学会から「ホルモン補充療法のガイドライン」が規定され、ホルモン補充療法を受けられないケースが示されました。以下のような方には、ホルモン補充療法以外の方法で、更年期障害の改善などを行います。
- 重度の肝臓疾患のある方
- 乳がんおよびその既往のある方
- 原因不明の性器出血のある方
- 妊娠が疑われる方
- 血栓性静脈炎、血栓塞栓症とその既往のある方
- 冠動脈疾患の既往のある方
- 脳卒中の既往のある方